#3 北裕子 さん

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北裕子さん

中田の棚田再生プロジェクトの母体である小川地域棚田振興協議会の会長。棚田の活動をしながら、紀州マルイチ農園として果樹の栽培や加工なども行っている。シェアスペース「くりとくら」のオーナー。
再生活動のとりまとめだけでなく、現地で草刈りなどの農業も率先して実施している。

ー 中田の棚田に関わるきっかけは?

13年前に紀美野町にUターンしてきた時に、この棚田の協議会の母体である「紀美野町まちづくり推進協議会」っていう会があって、まちづくりへ入るんですけれども、流れで会長を務めるようになりまして。その時に紀美野町の地域資源とか、観光について、「何がええんやろ? 紀美野町の活性化といえば観光、どういうことをすればいいやろう? 」と1年間議論して最終的に「中田の棚田の景観はすごいいいよね」っていう声をたくさんの方いただきました。特に地元の人よりも移住者の人が結構気に入って、「あそこを昔のように田んぼにしたら、きれいな場所になるんじゃないか」っていうお声いただいたりしました。あそこから見る景色を見たら、すごい心が落ち着くという人もいたりして。だから、地元の人もビューポイントから見える所の木の伐採とか、そういうこともやってくれたんだけど、面積が広いんでちょっと諦めかけていたと。「じゃあそこまできれいだったんなら、みんなで復活させようか」ってまちづくり推進協議会が言って、関わるようになりました。また、中田の棚田はお母さんの生まれでもあるので、運命的なものを感じましたね。

ー 思い入れのある、縁のある棚田に関わるようになったんですね?

米づくりっていうことなんですけど、私たちも果樹農家で同じ農業っていうことなんでね。やっぱり農業の活性化、農業に光を当てたい、農業の持ってるいろんな魅力とか、そういうものをもっともっとみんなに知ってもらいたいっていう想いは、棚田であろうが、果樹農家であろうが一緒なんでね。

ー 中田の棚田でどんな活動をしてますか?

どうしても家が忙しい時っていうのは行けないんですけども、できるだけ足を運んで作業に来てくれた棚田サポーターズ、ボランティアの皆さんとやっぱり会話をして、皆どんな思いで来てるのかなとか、色んなお話をして交流したい、そこをこう繋ぐ役目かなと思います。あとは会長として、いろいろ取材を受けたりとか、書類的なことをまとめたりとか、打ち合わせしたりとか、それはそれでね 頑張ってやれる範囲でやってます。

ー 棚田の活動をしていて楽しかったことはなんでしたか?

自分のとこの農業から少し離れた形で取り組めるので、気持ちのリフレッシュできる。本来の自然の中で農業をする、土を触るとかっていうことで心からリフレッシュする。素の自分に戻れるっていうのかな?だからすごくいいですね。棚田で作業するの気持ちいいですね いろんなことを忘れて…。あとは棚サポの皆さんの笑顔がすべてですね。子どもに来てもらって走り回ったり、元気なのは本当に一番活力になりますね。あとは、水の音とか鳥の鳴き声とかも落ち着きますね。都会に住んでいる人は、雑多な日々の中で心がざわざわしている気がするんです。棚田に来て、無理なく体を動かし、それで気持ちがフラットになって、明日頑張ろうとか、そういう気持ちが生まれてくるんですよ。ぜひ、そのあたりの感覚を体感してほしいなと思います。

ー 棚田再生のはじまりから関わっていますが、活動に関わって変化したことありますか?

私、農業って言うか、土に触れたりっていうのが本当に好きだったんやなっていう感じがしてます。草なんかも刈ってもまた元へ戻っちゃうから、堂々巡りで同じことやってるように思うかもしれないけれども、絶対その生えてきた草とかが変わっていってると思うんですよ。

ー これから棚田の活動が続くと思いますが、こんな風になっていったらいいなとかありますか?

ビューポイント前の道がですね、今のまま大きな災害等がなければ、3年後に生石高原に続くようになるんですよ。その3年後が一体どうなるのかなっていうドキドキ感。あとは、棚田の活動を進めていくために、自立を目指して、作ったお米を販売して、それを原資にとか、それ以外のビジネスも、例えば高台にある空き家を交流施設、体験施設、ゲストハウス、そういうのにしていきたいし、ビューから景色を眺めながらおいしいコーヒーが飲めるような場所も作っていきたい。そして、そういうもので得たお金を原資に、棚田の再生っていうのを持続的に繋げていけたらなと思います。また、すぐ棚田の側に住んでもらって、棚田の守り人として活躍してもらえる方も育てていく必要があるのかなと思います。あとは、お米つくれないところに野菜とか果樹なんかも植えて、いろんな体験ができるエリアっていうのを作っていきたいなとも思います。

ー 最後に、見ている方に一言どうぞ

とにかく、一度は中田の棚田を見に来てください。見ていただいたら、感動していただけると思います。そして、棚田で一緒に作業して、棚田を体感してほしいなと思います。いろんな人も来てるんで、そういう人たちとの会話も楽しんで、リフレッシュしてもらえればと思います。

ー 北さん、ありがとうございました!!

YouTubeでインタビュー動画のフルバージョンを公開中!!